アブラムシの無農薬駆除の手法として「水で洗い流す」という話をよく聞きます。
また雨が少ないとアブラムシの被害が増えるとも言われています。
ではアブラムシは水やりで駆除できるのでしょうか?
調べてみましょう。
アブラムシ水没実験
アブラムシは空気中で生きる虫ですので水没が続けば間違いなく窒息します。
しかし雨に濡れたからといって全滅するほど弱くはないでしょう。
その程度がわかればアブラムシの繁殖を抑え込めるかもしれません。
実験してみましょう。
取り出したるはアブラムシのコロニー。
一瞬水に沈める
水に一瞬浸けてみましょう。
当然ながらほぼ動じませんね。
爪楊枝で突けば「なんだよもう」というように触覚や足を動かすも逃げようともしません。
数匹ほど葉から落ちてティッシュの上を歩いていますね。
一瞬水に濡れただけでは全く影響なしです。
10秒間水に沈める
先日実験したヤシ油系殺虫剤「アーリーセーフ」では5~10秒で駆除ができました。
では水ではどうでしょうか。
少し動きがでてきましたが全く平気ですね。
数匹水に浮いてもがいています。
30秒間水に沈める
水やり駆除を想定すると1箇所30秒程度になるのではないでしょうか。
触覚をヒクヒク動かし歩き出す個体が増えました。
死に至るダメージはないようです。
ここで大変重要なことに気が付きました。
アブラムシを空気が包み込んでキラキラ光っています。
水に沈んでも空気の層をまとっているのでそう簡単には窒息しない、アブラムシは雨を生き抜くためにそのように出来ているようです。
5分間沈める
では雨を想定して5分間で試してみましょう。
浮いてくる個体が増えました。
これは体にまとっている空気の浮力に耐えられなくなったのでしょう。
しかし浮いている個体は大半は生きています。
そして表面張力で体は水中からでています。
アメンボとまではいいませんが、アリが水上を歩くように浮いているのです。
ピンセットや他の個体にしがみついて難を逃れようとしています。
アブラムシは流されても水に浮き生きているということです。
水中のアブラムシはというと、浮かないように葉に必死にしがみついているもの、水中を歩いてピンセットまで逃げてきたもの、動きがないものなどまちまちです。
葉を水中でシャカシャカと強く振ってみてもアブラムシはこれだけ残っています。
残ったアブラムシを突いて確認すると大半は生きています。
生きているから落ちないのです。
【結果】水やりでアブラムシ駆除は出来ない
非常に厳しい結果となりました。
今回の実験だけですべてを語ることはできませんが、水やりがアブラムシ駆除に効果があるとは言えません。
むしろアブラムシを拡散させる恐れがある、そう結論づけます。
長雨であれば一度流されたアブラムシが再び別の葉に付くことは難しく、葉の裏のアブラムシも別の場所に移動出来ません。
雨はそのような効果でアブラムシの繁殖を抑えるのかもしれませんね。
水やりではなく、絞り込んだスプレーで直撃させれば個体数は減らせると思います。
ただ今回の実験からすると流されたアブラムシは生きている、そのことも忘れてはいけません。
こうして確認してみると水やりに大きな期待を持つことは出来ないですかね。
かなりガッカリです。
実験途中に逃げ出したアブラムシも元気なものです。
私の場合は水やりはあくまでも水分補給として、そしてアブラムシ駆除はアーリーセーフ後に水スプレーで死骸を洗い流す、そのような方針でいきます。